悪口を言ってしまう自分を直さなくてもいい意外なメリット

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人の悪口を言ってしまう自分が嫌い」と自己嫌悪してしまうことはありますか? 実は、悪口を言うことには意外なメリットがあることがわかっています。

今回はそんな悪口を言うメリット悪口を言ってしまう原因、そしてそんな悪口を言ってしまう自分を直さなくてもいい理由をご紹介していきましょう。

かな子

最後には、そんな悪口を言ってしまう自分を直すノート術をご紹介していきます。

目次

悪口を言うメリット

悪口を言うことには鎮痛作用のメリットがあります。その理由は、悪口を繰り返すことで痛みへの耐性としきい値が上昇した研究(Richard Stevens and Olly Robertson, 2020)があるためです。

かな子

この悪口の研究の解説と、日本語への影響について簡単にお伝えしていきます。

痛みへの耐性としきい値が上昇した悪口の研究

この研究に参加した平均年齢27.8歳の男女92人の被験者は、3~5℃の氷水に片手を浸したまま指定された単語を繰り返すよう指示されました。

その指定された単語とは、以下の3種類。このいずれかが、被験者に割り当てられました。

単語詳細
fuck一般的なののしり言葉
fouch・twizpipe感情を刺激する・気が散るユーモラスな響きのある造語
table中立的な言葉
被験者に割り当てられた単語

また、以下の指標で痛みのしきい値(=痛みを痛みだと認識するまでの時間)と痛みの耐性を計測します。

痛みのしきい値の指標いつ痛みを感じ始めたか
痛みの耐性の指標痛みに耐えられず手を離すまでの合計時間

結果、中立的な言葉と比較して、ののしり言葉を繰り返すことで被験者の痛みの耐性が33%高まり痛みのしきい値も32%上昇することがわかりました。

悪口の代わりに使用された「fouch」・「twizpipe」は、痛みの耐性やしきい値には影響しなかったそうです。

日本語における悪口への効果

一方で、これは英語圏での研究結果のため、日本語で同様に鎮痛作用があるかどうかはわかっていません

英語圏と日本語圏の人間では、もともと痛みへの耐性が違うかもしれませんので、同じ研究を日本で行ったとしても、ここまで差がハッキリと出るかは不明です。

ただ、造語が影響しなかったように、きちんと悪口を扱うことが鎮痛作用を促すポイントになりそうです。

人の悪口ばかり言ってしまう原因

ここからはわたしの余談ですが、もし日本語の悪口にも上記の鎮痛作用があるとしたら、普段から悪口を言う人は、日常的に痛みを感じ、それに耐え続けているのではないかと考えています。

逆に、悪口を言わないようにするということは、同時にその悪口で解消できていた心の痛みを抱え続ける可能性があるのです。

かな子

「それって辛くないですか?」という話をここからしていきます。

悪口を言う理由は痛みを感じているから

悪口ばかり言う人の心理として、以下のような理由が挙げられます。

  • コンプレックスが強い
  • 劣等感がある
  • 自分や相手を愛せない

これらに限らず、自分が辛い・しんどい状況があるからこそ悪口を発している場合が多く、それは本人が心の痛みを感じていることが前提になっています。

そのため、心の痛みを緩和させるためにも、今回紹介した研究のように鎮痛作用がある悪口を無意識に使っているのではないかと考えられるのです。

もちろん、身体的な痛みへの鎮痛作用が心で感じる痛みにも同様に作用するかどうかは推測の域を出ません

かな子

ただ、悪口を言うことで気が紛れることもあるよね…とすんなり納得できる部分もあります。

ちなみに、そもそも無意識にしている思い込みやバイアスがなぜ存在するのか、については以下のページで解説していますので興味がありましたらご覧ください。

悪口を言いたくなるときのパターン

わたしが過去悪口を言いたくなるとき、次のような流れでムッとするパターンが多かった気がしています。

  • 自分に関わる問題が起こる(=痛みを感じる)
  • 問題を回避しようとする(=痛みを解消しようとする)
  • 「自分は問題じゃない! 問題は相手だ!」と転嫁する(=悪口で問題と距離を置く)

このように、悪口を言う直前で毎回自分は心に痛みを感じている、と気づきました。だからこそこの悪口は、自分を痛みから守ろうとしている反応だとわかります。

かな子

同じようなパターンで、あなたも悪口を言いたくなることはありませんか?

これが慢性化すると、常に「問題が起こっている! 心が痛みを感じるぞ」と無意識に自分を守る準備をし始めます。だからこそ、意識しなくても次々悪口が出てくる人はこの準備を整えているからなのかもしれません。

つまり、心に痛みを抱えているからこそ、必然的に自分を守る準備をせざるを得ないとわかります。

悪口を言ってしまってもいい

悪口を言ってしまう自分を責める必要はありません。逆に、悪口を言わないように我慢した場合、その悪口で解消できていた心の痛みを抱え続けることになるからです。

「他人にその痛みを押し付けるのか!」という主張もあると思いますが、誰かに言わずひとりで言ってる分には迷惑はかかりません

かな子

それよりも、そうやって我慢して…我慢して…、我慢し続けたことでもっと大きな問題が起きるかもしれませんからね。

悪口を言ってしまう・直したいと思う前に、まずは「それくらい心に痛みを感じているんだ」と素直に認め、そんな自分を許しましょう。

ここからは、悪口を言ってしまう自分を直したいと思っているあなたに向け、解決へのヒントとなるノート術を解説していきます。

悪口を言ってしまう自分を直したいなら

もし悪口を言ってしまう自分を直したいなら、あなたに悪口を言わせている心の痛みの原因を突き止め、ノートを使ってそれを解消しましょう。

そのためにも、わたしがおすすめする客観的に自分を見て精神的に自立するメタ認知ノートというノート術にならい、次の流れで書き出してみてください。

  • 悪口を気が済むまでノートに書く
  • 書いた悪口を「事実」と「解釈」に分ける
  • 「解釈」を”なぜなら”・”だって”でつなぎ続きを書く
  • それが本当かどうか反証していく
かな子

それぞれ詳しく解説していきます。

1. 悪口を気が済むまでノートに書く

悪口を言いたくなったとき、まずはノートに気が済むまで悪口を書き出しましょう

特に、何があってどんな悪口を言ったのか、を明確にしていきます。ここで悪口を偽る必要は全くなく、むしろ素直に吐き出す方が重要です。我慢せず、しっかり表現してくださいね。

ちなみに、わたしがよく使うノートは「カ.クリエ プレミアムクロス」です。A5サイズより横幅が狭いため横から覗かれにくく、こっそり書きたい人におすすめです。

さてここからは、わたしが実際に言いたくなったことのある悪口を例として書いていきますので参考になさってください。

悪口:同僚が会社を休んだ日に、上司が同僚の日報の書き方を会議中に指摘して笑いものにした。本人がいないときに、反論できない人たちを集めて笑いものにするなんて最低。

かな子

この日、わたしは本当にむしゃくしゃして最悪でしたね…。

2. 書いた悪口を「事実」と「解釈」に分ける

次に、悪口を「事実」と「解釈」に分けます。ここで言う事実と解釈は、次のようなものを指します。

事実実際に起こったこと。一切の解釈を含めない、ありのままのこと。
解釈起こった事実に対して、自分の中で浮かんだ思考感情のこと。

解釈の方が重要なので、解釈に目印としてアンダーラインを引くだけでもOK。とにかく、「これが事実」「これが解釈」と認識できれば問題ありません。

かな子

わたしなら次のように分けてみました。

悪口:同僚が会社を休んだ日に、上司が同僚の日報の書き方を会議中に指摘して笑いものにした。本人がいないときに、反論できない人たちを集めて笑いものにするなんて最低。

事実:同僚が会社を休んだ日に、上司が同僚の日報の書き方を会議中に指摘した。
解釈:同僚の日報を笑いものにした。本人がいないときに、反論できない人たちを集めて笑いものにするなんて最低。

この時点で、あなたが感じている痛みの本当の理由にはまだたどり着いていません。さらに深堀して、自分がなぜその解釈をしているのかをひも解いていきます。

3. 「解釈」を”なぜなら”・”だって”でつなぎ続きを書く

「事実」と「解釈」が明確になったら、解釈「なぜなら」や「だって」でつないで続きを書きましょう

最終的には、「わたしは○○だと思っている」という結論にたどり着くはずです。

かな子

再びわたしの悪口を例にしていきます。

悪口:同僚が会社を休んだ日に、上司が同僚の日報の書き方を会議中に指摘して笑いものにした。本人がいないときに、反論できない人たちを集めて笑いものにするなんて最低。

事実:同僚が会社を休んだ日に、上司が同僚の日報の書き方を会議中に指摘した。
解釈:同僚の日報を笑いものにした。本人がいないときに、反論できない人たちを集めて笑いものにするなんて最低。

なぜなら、人が一生懸命書いたものを笑うなんて許せないから。だって、能力が低いだろう、と言われているみたいでわたしなら傷つく。なぜなら仕事で能力が低いことはダメなことなのだから。

上記のように、相手は、ではなく、自分はどう思ったのか・どう感じたのか、に落とし込むと、悪口で解消しようとしていた「痛み」の原因がわかります。

かな子

今回の例の場合、「仕事で能力が低いことはダメなこと」だと思っている、になりました。わたしはここに痛みを感じているようです。

4. それが本当かどうか反証していく

最後に、3.で書き出した内容が本当かどうか反証し、極端に振り切っていた思考を整えて悪口を言いたくなっている心の痛みを和らげていきます。

ここでのゴールは、3.で書き出した内容が「合っていることもあるし、合っていないこともある。どっちもある」と気づくことです。

もし反証が難しかったら、次のような問いかけを自分にしていきましょう。

  • 例)本当にそれはダメなこと? それが正しい・良いことだとしたら?
  • 例)それが求められる世の中だとしたら、どういう人に求められる?
  • 例)それで成功している人は誰?
かな子

ここからは、「仕事で能力が低いことはダメなこと」だと思っていたわたしの例をご紹介します。

仕事で能力が低いことはダメなこと

仕事で能力が低いことは、本当にダメなこと?
→絶対ダメだよ。だって仕事なんだから。仕事ができる人が出世するのが当たり前。仕事はできた方がいい

仕事の能力が低い人が求められる世の中だとしたら、どういう人に求められる?
→そんな人いないよ! 全然わからない…うーん、たとえば根っからの教えたい人だったら、教えさせてくれる人(仕事ができない人)がいないと辛いかも。でも、上司は教えたい人じゃないでしょ。知らんけど

はい、ここでひとつ思考の偏りがわかりましたね。教えたい人かどうかの証拠もないのに、上司は教えたい人じゃない、と思い込んでいます。

「うーん」や「そんなわけない!」など、心のつぶやきも全部そのまま書き出してOK。綺麗に書こうとしなくて大丈夫です。

この調子で、また別の視点から反証を続けていきます。

仕事で能力が低いことはダメなこと

仕事で能力が低いことが正しい・良いことだとしたら?
→全然思いつかない。みんなが反面教師にするくらいじゃない? こうならないようにしよう、と思ってみんながやらないようにしたら、みんなが仕事ができるようになって結果的に会社全体の利益になるかもしれない。全然嬉しくないけど

嬉しくなるとしたらどう考える?
→うーん、でも給料に反映されるなら嬉しい。能力の低い自分が頑張らなくても、自分以外が頑張ってくれるなら。もしかして、能力が低い人がいないと、頑張ろうって思えない? かも。能力が低い人がいるから、全体が頑張れるってこと? そうだとしたらすごいな

どうでしょうか? こうやって自分に問いかけをしながら、少しずつ偏っていた思考が整っていきます

成功させるポイントは、無理やりポジティブ思考にしないこと。納得できていないまま、無理に思い込もうとすると、より一層しんどくなりますからね。

あくまでも、今のあなたが納得する形で反証するようにしてください。ゴールは、自分の考えが「合っていることもあるし、合っていないこともある。どっちもある」と気づくことです。

かな子

まだ苦しい・辛いと感じる場合は、書き出した「解釈」が本当に真実か考える反証の例を以下のページに載せていますのでご覧ください。

まとめ

ここまでが『悪口を言ってしまう自分を直さなくてもいい意外なメリット』でした。

悪口には鎮痛作用があるという研究があるため、日ごろから悪口を言ってしまう人は日常的に心に痛みを抱えているかもしれません。

悪口を言ってしまう自分を責めなくていいですし、もしそんな自分を直したい場合は、今回ご紹介した心の痛みの原因を突き止め解消する方法を試してみてくださいね。

少しでも、あなたが生きやすくなり「大丈夫」と思えるお手伝いができましたら幸いです。

それでは、かな子(@note_yodan)でした。

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