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言語化できない思考をメモする『言語化しないメモ術』

ふとした瞬間に頭をよぎる、言葉になる前の思考や感覚。それは、あなたの中で純度の高い活き活きとした感覚だったかもしれません。
でも、それをいざメモしようとノートを開いたときには、もうすっかり忘れてしまっている…そんな、もどかしい思いをしたことはありませんか?
- 散歩中に何か思いついたのに10秒後には忘れてる
- 人の話を聞いていてモヤッとしたのに説明できない
- 本を読んでいて何か感じているけど言葉に表せない
あるいは、無理に「言語化」という枠に当てはめようとするうちに、元々あった活き活きとしたニュアンスが、なんだかつまらないものに変わってしまうことも。
わたしたちはなんとなく、思考を整理するには「言語化」が不可欠だと思いがちです。でも、無理に言葉に整えようとして、かえって思考の鮮度を落としてしまうならもったいないですよね。
それなら、無理に言葉にしない方が良かったじゃんって話。でも言葉にしなかったら、メモできずにすぐ忘れちゃう…。
そこで今回は、そんな「言語化」の呪いから思考を解放し、言葉になる前の「まだ名前のない思考」をそのまま残しておくために、文章ではなく図・記号・配置を使って思考のニュアンスを保存する「ニュアンスノート」というメモ術をご提案したいと思います。
目次
言語化される前に消えていく思考・アイディアたち
日頃思いつく思考やアイディアの中には、言語化できないせいで、あっという間に忘れてしまうものがあります。
メモしようにも、なんてメモしたらいいかわからず、考えているうちに消えてしまった…なんてことがあるかもしれません。
ここでは、そもそもなぜ言語化しづらい思考があるのか、さらに言葉にすることが正しいとは限らない理由、それでもわたしはメモしたい、という話をしていきます。
なぜ「言葉にしづらい」のか
思いついた思考やアイディアが言葉にできずにいつの間にか忘れてしまっている場合、その思考やアイディア自体が抽象的で、頭の中でまだ形を持たない状態になっているからかもしれません。
少しでも言葉にできれば、それを繰り返し唱えることで記憶に定着しやすいでしょう。具体的なビジョンが浮かんでいれば、それが強烈なフックとなって覚えられるし、絵心ある場合はそれをそのまま記録することも可能ですよね。
逆に、その思考が抽象的で形になってないからこそ言葉にしづらいのだろうと考えられます。
また、言葉にできないものは、一瞬思い浮かんだとしても記憶しておく引っかかりがありませんから、メモできずにすぐに忘れ去られてしまい、おそらくもう二度と思い出すこともないでしょう。
抽象思考の例
たとえば、犬を思い浮かべてその犬をメモしておきたいなら「犬」と書けばいいですよね。あるいは、犬の絵を描けば済む話。でも、わたしがここでメモしようとしているのは、その犬よりももっと具体的でない抽象概念。
たとえば、その犬を触ったときの手触りがザラついたカーテンの感触に似ているから、生まれたばかりの頃はカーテンの素材に似た何かに包まれていたのか、むしろ遺伝なのか、遺伝なのだとしたら最初の犬はカーテンだったのか…みたいな、この一連の思考のプロセス全体をメモしたい、みたいな場合です。どういう状況?
怖がらせたかもしれませんが、これはAIに書かせてません。完全にわたしが今オリジナルで考えました。より怖いですよね。
しかも、記事にするためにわたしが今初めて言語化したわけであって、思考したタイミングでいちいちこんな長々文章を考えているわけではありません。イメージが一瞬で浮かんで、一瞬で忘れてしまうのです。
後にもう一度出しますが、たとえば成功した誰かを見て「あの人は運が良いからできただけで、普通の人は無理だよ」的な言葉を聞いたとき、わたしはよくこのようなイメージ図を思い浮かべていました。


この図の説明(↓読まなくていいです)
後述しますが、「自分にとって重要」と認識した情報だけを自動的に選ぶ脳機能は、自分が信じているものと違う状況が目の前にきたとき、辻褄合わせするように、自分に都合が良い情報を「やっぱすごいよね!」と受け取るし、都合が悪い情報は「自分とあの人は違う」と受け取っていき、そしてこれはこの今目の前にあるそういった選択の点の集まりで人生が出来ているというイメージであり、最初は遠くても目の前の小さな選択から選びたい方を選び続ければ、遠く感じていたことに近づくよねってことをメモしたかったんです。え、長。
こ、ここまで言葉にしないと、これをメモできないんすか~!? おかしい。
いや、ここまで書いても一発では理解できないかもしれません。今までは、一瞬でこの図が脳から過ぎ去っていくため、記憶にとどめることもありませんでした。
しかし、人生の中で場所や人を変えて何度もこの「あの人はすごい。自分はダメ」構造の会話文にぶち当たる経験を繰り返していると、その度に同じイメージを思い浮かべるのです。
そこでようやくわたしは、「え、これってメモした方が良くないか? いやでもどうやって…」と悩み始めた次第です。
抽象的な思考なので、特定の場所や特定の人など実際に存在する事物をメモしたいわけではありませんから、人や物を「絵」として描けるわけでもありません。
言葉にも絵にもできないんじゃ、そもそもメモしようという思考に至るまでに忘れてしまうのは当然です。
言葉にすると逆に思考が歪む「言語隠蔽効果」
なんでも言語化すればいいという話ではありません。言葉にすることで、思考や記憶がかえって歪む「言語隠蔽効果(げんごいんぺいこうか)」をご紹介します。
銀行強盗のビデオを見せた後、犯人の顔を言葉で説明させる実験をしたところ、その後の顔を見分けるテストの成績が著しく低下することがわかりました。(『Verbal Overshadowing of Visual Memories: Some Things Are Better Left Unsaid(Jonathan W. Schooler, Tonya Y. Engstler-Schooler, 1990)』)
【全員】銀行強盗のビデオを見る(犯人の顔を記憶)
↓
【グループ分け】
├① 言語化グループ:犯人の顔をできるだけ詳しく言葉で説明
└② 比較対象グループ:顔とは全く関係ない作業(無関係のクイズなど)
↓
【テスト】複数の写真(面割り)から本物の犯人を選ぶ
↓
【結 果】
├① 言語化グループ:【38% 】しか正解できなかった
└② 比較対象グループ:【64% 】が正しく犯人を特定!
犯人の顔を言葉で説明しようとすると、人間の言葉には限界があるため、脳が記憶している本来のニュアンスを100%表現することはできず、結果として「実物とは微妙に違う、不完全な言葉の羅列(例:細い目、尖った顎など)」が脳内に出来上がります。
最後に写真(面割り)を見せられたとき、脳は元の「鮮明な映像の記憶」ではなく、直前に一生懸命作った「不完全な言葉の羅列」を優先して参照するため、写真の中に「自分が出した言葉の特徴(例:細い目、尖った顎など)」にたまたま一致する無実の人がいた場合、元の映像記憶を無視してそちらを犯人だと誤認するようです。
先ほどメモの写真の下にその説明文も書きましたが、たしかにあの文章からあのメモをもう一度思い浮かべることって難しそう。
主観的な話ですが、説明するより図を見た方がわたしのイメージに近く、逆に言葉にすることで、記録したかった情報の精度が落ちている気もします。
ただわたし自身、先ほどの写真の図だけで伝わるとは思いませんが、説明文だけで説明しきった気にも到底なれないなと思いました。
思考・アイディアは言語化しないとメモれない
だからといって、言語化しなかったらメモできないですよね。絵心あったとしても、そもそもまだ具体的な輪郭もイメージできない思考が浮かんでいたら、絵にすらできずどう表現したらいいかわかりません。
わたしたち抽象思考大好きっ子の問題の根本はここにあります。
実はあなたも、ここまで読んで初めて「自分のあの思考って、実はメモしても良かったんだ」と気づいたかもしれません。それくらい、抽象的な思考は抽象故に我々の生活からすり抜けていきます。
わたしはMBTIでいうところのINTJなので、構造でとらえる抽象思考が大好き。メモしておきたい思考やアイディアはいつも抽象的。抽象的だから言葉にできない。言葉にできないからメモできない…この繰り返しになってしまいます。
だからこそ、あるときからわたしは「いっそのこと言語化するのをやめよう。思いついたら、そのままメモしてみよう」と決めてメモし始めました。
それが、今回ご紹介する「ニュアンスノート」というメモ術です。
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抽象的な思考・アイディアを逃さない「ニュアンスノート」
メモしたいことが抽象的で言語化できないあなたへ、言語化せずにメモする「ニュアンスノート」というメモ術をご紹介します。
といっても、文字通り言葉にせずに記号や矢印を使って浮かんだ思考を書くだけの簡単メモ術です。
「こういうニュアンスをメモしたいんだよなあ」という悩みにぴったり。
あれ・これ・それ、みたいな表現でしか言えなかったその思考やアイディアを今すぐ捕まえましょう。
「ニュアンスノート」とは
「ニュアンスノート」とは、まだ言葉にできていない抽象的な思考をメモするメモ術です。
漠然としたなんとなくのニュアンスを、浮かんだままにメモする習慣ができると、今まで見逃して忘れてしまっていた思考・アイディアをたくさんメモできるようになります。
具体的に言語化できている、あるいは具体的なイメージが浮かんでいるとき以外メモができない、という従来の構造をぶち壊します。
言葉にしなくても、それがつまり何を表すのかがわかるようにするため、記号や図をふんだんに使って、流れや因果関係を表現するのが特徴です。
言語化せずメモできれば抽象思考が姿を現す
「ニュアンスノート」のメリットは、これまで見逃されてきた抽象思考を逃さずに書き留めることができることです。
繰り返しになりますが、メモというのは、言語化できなければ…あるいは具体的なイメージが浮かんでいなければ、記録できず視覚化できない構造になっていました。
これでは、具体的な思考・アイディアはいくらでもメモできるのに、抽象的な情報は抽象的なまま残すことができません。
無理やり言葉にしないと、その思考は具体性を帯びずにすぐ忘れてしまいますし、あるいは言葉にできたとしても、その浮かんでいるニュアンスとは若干ズレてしまって、鮮度がどんどん落ちてしまうことがあるでしょう。
だからこそ、抽象的な思考は抽象的なまま表現するのが重要です。ここからは、具体的な「ニュアンスノート」の書き方をご紹介していきます。
言語化しない「ニュアンスノート」の書き方
抽象的な思考をそのままメモしていく「ニュアンスノート」の書き方を以下の流れでご紹介します。
- 具体的な「ニュアンスノート」の書き方
- 【写真あり】わたしの「ニュアンスノート」の例
- ニュアンスを書き留めるノート・ペンの選び方
もちろん、この通りにしなくても、抽象的な思考を言語化しないでそのまま書くことができればOK!
抽象思考ライフを手助けするツールとして、ぜひお使いください。
具体的な「ニュアンスノート」の書き方
「ニュアンスノート」の書き方ですが、抽象的なイメージが浮かんだら、記号や図を書き、流れや因果関係などを表現しメモしていきましょう。
使う記号や図は、具体的には以下のようなものです。
- 強調・区切り:線、丸、四角
- 位置:点
- 未確定・未表出:点線
- 関係・流れ・方向:矢印
- 全体構造・網羅性:表、4象限マトリクス、マインドマップ
たとえば、「AとBは双方向に影響を与えている」みたいなビジョンが浮かんでいる場合は、左側にA、右側にBと書き、その間に両方向へ向かって伸びる矢印⇔を書けば、「AとBは双方向に影響を与えている」と言語化しなくとも、パッと見ただけで理解できる図が書けますよね。


わたしは、世界観ごとメモしたい場合にマインドマップをよく使います。
読んだ本1冊まるまるとか、来年の目標についてとか、ひとつのまとまりを網羅的にごそっとメモしておきたいときに使いがち。
【写真あり】わたしの「ニュアンスノート」の例
言うは易しですから、わたしが実際にメモしている「ニュアンスノート」の例をご紹介していきます。
①現象・状態をメモしたい


これは先ほどもご紹介したように、脳に入る膨大な情報から自分にとって重要な情報だけフィルターにかける「RAS(Reticular Activating System)」についてのメモです。
人生の今いる場所から、もともと遠くに感じられたすごいことが、選ぶ意識の選択によってどんどん近づくこともできるし、すごくない方へ意識を向ければどんどん遠ざかることもできる。そうやって今目の前にある選択の連続で人生ができているんだよな、とイメージしたとき書きました。
しかし、わたしはこのメモをしているとき、上記のような言葉をいちいち考えながら書いてはいません。
わたしがこの記事の中で便宜上説明するために必要だったからこそ、今回初めて言葉にしてみました。
②因果関係をメモしたい


わたしは通院しているのですが、なぜか毎回先生と折り合いがつきません。それは、わたしと先生の見えている情報量の違いのせいなのでは…? とイメージしたときのメモです。
今回は言葉多めですが、ここで一番メモしたかったのはわたしが情報を見落としている場所です。


気づいた中で一番ヤバかったのは、そもそもわたしから伝えている時点でわたし自身が認識できていない自分の情報もあるということ。見えていないことを表現するために、吹き出しを点線で書いています。
そこから膨らませて、メタ認知ノートのような自己内省を進めることができました。
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このメモはかなり有意義。
こんな感じで、実際に言葉にできていない微妙なニュアンスをイメージのまま記していきましょう。
③矛盾の指摘・読んだ本のメモ


これはかなりおまけですが、矛盾に気づいたときと読んだ本(『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』)のメモも一緒に載せておきます。
矛盾を表現するために、矛盾する状態をそれぞれ四角で区切り、その間に「矛盾」と書いただけのメモです。「脳が混乱した」とも書いてありますね…。
あと、読書メモについても矢印をかなり使っていて、関係性や流れを表現しています。この本については、以下のページで詳しくご紹介しておりますのでぜひ併せてご覧ください。めっちゃ面白いです。
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ニュアンスを書き留めるノート・ペンの選び方
ノートやペンに制限はありませんが、今わたしがどんな形で「ニュアンスノート」を運用しているのか、ノートやペンの選び方をご紹介します。
ノートの選び方
ノートは絶対無地がおすすめ。言葉よりも図や線を使うため、最初から余計な線や点は入ってない方が良いです。
サイズは大きすぎず小さすぎずが良いでしょう。わたしはミドリのMDノートの新書サイズを使用しています。
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あまり大きすぎると、普段使いが困難。日常的にわいてくる抽象的な思考を捕まえたいなら、サッと取り出せてしっかり書けるサイズがおすすめ。
わたしはA5スリムサイズが好きなのですが、縦長のノートは幅を取りづらくてコンパクトに書ける上に、両ページ使うことで正方形に近づくため、マインドマップも書きやすくなります。
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A5スリムノートを6年使い続けるわたしのおすすめノート3選
A5スリムノートを6年使い続けたわたしは常々、「世の中にA5スリムノートが少ない!」と感じています…。 一方で、「A5スリムノートって実際どうなの?」と思っている方は…
また、わたしはノートにカバーもかけているため、外出先にも持って行けます。
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ペンの選び方
ペンは太めが使いやすいです。普段はエナージェルの0.7mmを使用しています。
太めが良い理由としては、自然にノートを広々使いたくなる心理が働くからだと思っています。
0.5mmだと線が細く、ノートに詰めて書けてしまうので、思考が広がらず収縮していく感じがするんですよね。
小さく書こうとすると、内容が潰れてしまうくらいの太めのペンであれば、意識せずとも自然と大きくゆとりを持って書こうとするのでおすすめです。
あと、わたしは多色使いはおすすめしていません。色を選ぶ時点で思考の邪魔! 1冊のノートに対して使うペンは1本1色にしましょう。
それでは、良い抽象思考ライフを!
まとめ
以上が、「言語化できない思考をメモする『言語化しないメモ術』」でした!
言葉にする前に消えていってしまう、抽象思考が大好きな皆さんにとって、これまでは言語化できなかったらメモできずに残せないという構造の問題が潜んでおりました。
しかし、それでもメモはしたい!
今回はそんなわたしのような方へ向けて、言語化しないメモ術「ニュアンスノート」をご紹介しました。
記号や図を使って、流れや関係性をメモできたり、全体の構造を掴んだりするのに役立ちます。実際に書いている内容も写真つきでご紹介しましたので、参考になれば幸いです。
これからも、メモやノート術についてご紹介していきますので、他の記事もぜひご覧になってみてくださいね。







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